落ち着きのない、多動のある子へのアプローチ法 2

2.身体のイメージをつかむ運動

私たちは、自分の身体の大きさや、手足のつき方や形、またその動き方が

どのようになっているのかをイメージして持っています。

このような自分の身体イメージを「ボディーイメージ」と言います。

 

ボディーイメージは身体を動かすことで身についていきますが、

むやみやたらに動かしても身につくものではありません。

目的を持って、意図的に動かすことによって身についていきます。

乳児の例、「指しゃぶり」が最もわかりやすい運動です。

最初は、自分の手だとわからかなかった物体が、

自分で徐々に動きをコントロールし始め、

何度も挑戦していくうちに指しゃぶりができるようになっていきます。

 

机や椅子にぶつかってしまう。

机からいろんなものを不用意に落としてしまう。

人との距離が近かったり、遠かったりする。

 

自分の手や足を細かくコントロールしているつもりでも、

腕が体から離れてぶらぶらしていたり、

足を上げているつもりでも、十分に上がっておらずつまづいたりします。

 

意識して身体が動かしにくい狭いところを通らせたり、

動きを制限した遊びや運動を行うと

目的や意図を持った動きが取れるようになります。

 

 

「ゴムひもをまたぐ運動・くぐる運動」

 

 

ゴムひもを家具等につけ、足が触れないようにまたぐ運動です。

また、そのゴムひもに触れないように、下をくぐらせたりします。

最初はひざ下の高さで、ゆっくりまたがせましょう。

目的は、自分の身体の動きや大きさをイメージをつくることです。

飛び越える遊びではありません。

 

次のステップでは、料理で使うおたまにピンポン球等を入れ、

手に持ったままゴムひもをまたがせます。

足の動きに加え、手の動きにも注意を払わなければなりません。

慎重に行動する感覚も養えます。

 

下をくぐるときに、次にひもにあたらないように

身体を起こすタイミングが必要になります。

この身体を起こすタイミングが上手になると、

自分と他の対象物との距離がつかめるようになってきます。

ひもを2つ、3つ並べて行っても良いでしょう。

 

身体のイメージをつくることが目的ですので、ポイントは

「ゆっくり」です。

 

 

「横転ゴロゴロ」

この運動は、前回「感覚を調整する運動」でも紹介しました。

自分の周りの環境と自分の体が今どのような位置関係、状況になっているのか

自分がどの方向を向いているのかをつかむ感覚を「前庭覚」といいます。

この前庭覚の働きが悪いと、やたら動き回ることになってしまいます。

 

横になって、両手をうえに伸ばしゆっくり右、あるいは左に回ります。

落ち着きのない子や多動の子どもはこの前庭覚の働きが弱く、

目がまわらない子どもがいます。

また、逆に少しだけでも回転すると目が回ってしまう子どもがいます。

 

落ち着きのない子どもや多動のある子どもは、

必要以上に緊張し、身体に力が入ったり縮めたりしています。

最初は、手を持ってゆっくり回してあげましょう。

できる限り、上半身から下半身まで徐々に動いていくように

時間をかけてひねりながら回ってみましょう。

どこの部分が回っているのかを意識するとさらに効果的です。

 

 

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