子どもの発達は凸凹だ!
発達凸凹は、すべての人にあてはまる言葉だと、私は思っています。
人にはそれぞれ「得手・不得手」があるからです。
浜松医科大学児童青年期精神医学講座特任教授の杉山教授によれば、
発達凸凹とは、認知に「高い峰」と「低い谷」の両方を持つ子どもと大人である。と
定義されています。
得意なことには、集中し想像以上の成果を出すこともありますが、
不得手なことには、思わぬミスをすることもあります。
成長すると、自分自身の得手不得手を理解し、不得手の部分を仲間に助けてもらったり、
思わぬミスをしないように、様々な工夫をしながら行動しています。
私たちは失敗の経験から自分の特性を知り、得意な認知や方法(凸)で、
不得手な認知や内容(凹)を補っています。
発達凸凹の子どもたちは、学問・記憶力・芸術性・創造性など突出した能力がある反面、
未成熟で未発達の問題を抱えることもあります。
子どもたちが持つ潜在的な能力を伸ばしたり、苦手の克服をサポートするためには、
通常の一斉教育ではなく、工夫した教育や接し方が必要になります。
そこで、まず「子どもの強い感覚」を知る。ことをお勧めしています。
独創的な色彩や絵、工作を作る子ども。
数字や漢字、あるいは乗り物や昆虫に興味を持ち、何時間でも没頭する子ども。
滑り台や砂場遊びを一日中やっている子ども。
歌や人まねを休む間も無く行なっている子ども。
このような子どもは、自分の強い感覚器官をフルに活用して遊んでいます。
視覚情報、聴覚情報、あるいは触覚、嗅覚、味覚情報に敏感に反応している状態だとも言えます。
子どもの強い感覚器官を知ることで、子どもへのより効果的なアプローチが見えてきます。
2つ目に、「得意分野を伸ばすことに集中する」ことです。
自分自身の強みを知り、その能力を伸ばせる環境を用意し、強みを伸ばす子どもを奨励する。
これを実践すれば、さらに強みに磨きがかかります。
3つ目に「苦手を軽減する」ことです。
弱みに焦点を当てすぎて、子どもの気持ちを萎えさせないことが大切です。
あくまでも弱みは「子どもがより取り組みやすい形で補う」という発想が必要です。
この援助にも、子どもの強い感覚器官にそった方法が効果的です。
最後に、「子ども自身に自分の強みと弱みを理解してもらう」ことです。
子ども自身が自分の強みを知れば、自ら工夫した方法で自分の才能を伸ばすことができます。
苦手なことを理解していれば、工夫する能力も育ち、上手に対処できるようになっていきます。
私たちの発達は、バランスよく同じタイミングでは育ちません。
自分自身の発達の凸凹を知り、強みを活かす方法を身につけてほしいと願っています。