落ち着きのない、多動のある子へのアプローチ法 8
7.「協応運動」
落ち着きのない子や多動のある子どもは、
決められた手順で動くことが苦手な傾向があります。
やり慣れた行動はとてもスムーズですが、慣れない動きはぎこちないものです。
手や足を連動させて効率よく動かすこと(協応)を運動で鍛えていきます。
前だけでなく、後ろや横へ動いてみましょう。
動く方向が変わるだけでも切り替えることができずに、
バラバラな動きになってしまいます。
頭を働かせて、重心のかけ方・手足の動かし方などのコントロール力をつけ、
自分でコントロールしながら自分の責任で動く練習になります。
「四つんばい運動」
四つんばいでの前進は上手でも、後進させてみると手足の動きが
バラバラになったり、リズムが狂ってしまい動けなる子どももいます。
また、横向きに進ませると、途中から前に進んでしまう子どももいます。
足の指を立てずに、手の指先を開いて、頭を上げながら行いましょう。
「高ばい運動」
手足で身体を支えながら手足を協応させて進みます。
後ろに進ませると、手を動かすことを忘れ、手が床についていない子どももいます。
前後左右に動けるように練習しましょう。
重心が自分でコントロールできるようにならないと、上手に歩けません。
重心を自分でコントロールできるようになると衝動性が抑えられ、
突発的な行動が少なくなってきます。
「キャッチボール」
キャッチボールは、人を意識する練習には欠かせないものです。
多動のある子どもの中には相手を意識しているのにも関わらず、
投げるのが下手なために届くように投げられない子どももいます。
これは、自閉傾向の子どものキャッチボールと違います。
自閉傾向の子どもはボールを投げることに興味があり、
人に渡すことをあまり考えていないので、強すぎたり違う方向に投げたりします。
多動のある子どもは人を意識しているが手足や身体のバランスが悪いために、
思わぬ方向に飛んだり、弱かったりするものです。
身体の協応が進むと上手に投げることができるようになります。
最初のうちは身体を安定させ、ボールの受け取りに集中させるために、
椅子に座らせて取らせると良いでしょう。
両手で投げ、両手で受け止めることから練習します。
両手を同じように動かさないとボールはまっすぐに飛びません。
受け取るときも両手がバラバラに動いているとうまくつかめません。
受け取りにくい子には、手首や肘を介助して動きを伝えましょう。