落ち着きのない、多動のある子へのアプローチ法 3
3.身体のバランスをとる運動
落ち着きがない子どもや多動のある子どもは,
重心が安定せずフラフラしている場合があります。
フラフラというと、左右や前後の揺れる動きを想像するかもしれませんが、
上下の揺れもあるのです。
そこで、子どもの重心を現在よりやや後ろにすると、
動きに余裕ができ、安定した動きをみせるようになります。
また、走り回ってバランスが良さそうな子どもでも、
重心が「前」になっていることが多いようです。
塀の上を走り回ることができでも、平均台の上に留まることは難しかったりします。
これは、動いている方がバランスを取りやすいからです。
自転車で止まっているより、走っている方がバランスが取りやすいことと似ています。
「重心が安定する」と落ち着きが出てきます。
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「膝で立つ運動。片膝を浮かせる運動」
バランス運動というと、片足立ちやバランスボールなどを
想像される方が多いかもしれません。
まずは、「膝で立つ運動」をお勧めします。
両足では立てるのに、膝で立つことが難しい子どもがいます。
足より膝で立つ方が重心の揺れを制御しにくいからです。
重心が安定していないと、
腰を引いたり腰を曲げたりするなどの姿勢に現れます。
不安定さが姿勢にはっきり見えてきます。
膝で立つ運動
最初に、姿勢を保ったまま10数えるまでできるように練習しましょう。
10数えられるようになったら、次は膝を前後や左右に動かして移動してみましょう。
膝を前後左右に動かしても安定してきたら、「片膝を浮かせる」運動をします。
重心を右(左)に動かして、右(左)膝だけで身体を支え、左(右)膝を浮かせます。
片膝立ちができるようになったら、腰の位置を左右に動かしてみましょう。
この運動も「ゆっくり」「ていねいに」がポイントです。
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「つま先歩き運動・かかと歩き運動」
重心が前に移動すると、つま先立ちになります。
反対につま先を浮かせてかかとで歩くと、重心が後ろに移ります。
練習は「つま先歩き運動」から始めます。
重心が前側にある感覚を十分に体感(意識)させてから
かかとをつけて重心を後ろよりにする「かかと歩き運動」を体験させる方が、
子どもたちには重心の移動が体感(意識)しやすいようです。
難しい子どもには、立ったまま壁に寄りかかりながら「かかと立ち」の
練習をしてください。
また、かかと立ちやかかと歩きは、ゆっくり行ってください。
かかとで歩くと衝撃が強く、足だけでなく腰や身体に影響を与えてしまいます。
十分に気をつけてください。
「学習でも姿勢は大事です」
学習時の姿勢でも「バランス」は大切です。
左右のバランスや前後(腹筋・背筋)のバランスも大切です。
机に正対しているのか
右や左に傾いていないか
前後に倒れていないか
右利きの子どもの左手はどうなっているのかなども観察していると、
「視覚や聴覚」の問題が見つかることもあります。
姿勢は身体のバランスだけではなく、
「目や耳」の左右のバランスやハンディに気づかせてくれることがあります。
現在のお子様の重心の状態を少し後ろに移動させることで、
重心が安定し、落ち着きが出てきます。