事例「触覚過敏」

~すぐに席を立つ小学1年生の男の子〜

 

 

 

こんなパターンの子どももいるんだなあと教えてくれた例です。

 

「授業中にすぐに立ってうろうろしまう子がいる。

何度注意しても立ってしまう」

 

先生に何度も注意されながら、授業を受けていた。

1学期はまだ学校に慣れずに、

落ち着かない子どももいるからといわれていたが

2学期後半になっても行動に変化はない。

学力的にも遅れはなく、席を立ってどこかに出かけるわけでもない。

 

2学期の終わりには担任の先生より面談で

「集中力がない子でしょう、集中力をつけてください」と言われたが、

どうすれば対応したら良いのか学校からの指導はなかった。

 

宿題をするときに

「手が止まったり、教科書から目が離れるたびに集中しなさい」と叱っている。

 

「叱っても変わらないし、もう、どうしたらいいか分からなくて」

とお母様が相談にお見えになりました。

 

お母様にいくつかの質問をしました

 

「食事のときは座っていますか?」
「学校の宿題はどこでしていますか」
「また、その宿題学習の様子はいかがですか?」
「学校の授業全ての科目の時に立つのですか?」
「学校の運動会や整列する際には、どんな動きをしていますか』

 

一つひとつお母様の話を聴きながら、子どもの動きや状況を頭に想像します。

 

 

このお子様は

「食事の際には、すぐに立たない」

「買ってもらった机ではなく、和室の座卓でする」

「姿勢は崩れているものの立って歩くことはない」

「学習の集中時間は短いと思う」

「自ら進んで学習するわけではないが、きちんと宿題をする」

「横からのぞいたりしながら体が動くことはあるが、順番を待つことができる」

 

皆様はこの子にどんな想像をなさいますか?

 

「こんな子どももいるから心配ない」とお母様にお伝えしますか?

 

 

 

座位が保てなければ、全ての座位から逃れるため立つはずです。

 

集中時間が短いとは、何分のことを言っているのでしょう。

 

ADHDの子どもであれば、順番を待つことが難しかったり、

椅子から立ち上がった後、関心、興味があるところに移動するでしょう。

 

 

 

この子には「触覚の過敏」があります。

 

 

爪の隣にああるささくれを剥いたり、よく身体を掻いたりしています。

気に入ったバスタオルがないと寝付きが悪いそうです。

また、服もお気に入りの服しか着たがらないそうです。

 

これらの行動は、子どもの好みの問題だと考えずに、

子どもからの信号と考えると、次の一手が見えてきます。

 

アドバイスは、家庭で学校の椅子に似た椅子にクッションをつけ、

 

その椅子で
「食事を摂る」
「宿題をする」
      椅子にクッションをつけただけでした。

 

また、学年✖️10分 学習し続ければ十分だとお伝えしています。

 

この男の子は1年生ですから
算数の問題を10分間解き続けることができる。
国語の教科書を10分間読み続けることができる。

 

 

 

 

本来ならば、学校の椅子にクッションつけたいところですが

できなかったため、家庭で練習をしていただきました。

 

本当は、座るとお尻が痛くて泣いていたそうです。

でもクラスでは座れない変な子です。

 

しかも、大好きなお母様にいつも叱られています。

子どもの達成感や肯定感は育ちません。

 

集中できない子どもはほとんどいない

 

まだ、発達障害などの言葉が広まっていないこの時期は、

「子どもの怠慢」 「生活習慣の乱れ。家庭の問題」などと言われていました。

 

原因をしっかり確認し、子どもが楽になる手伝いをしたいものです。

 

 

また、ぜひお伝えしたいことは
子どもにあった椅子をお考えください。
「座面の広さ」 「包まれた感じ」  「座面の硬さ」

 

そして最も大切な一つが「足が床や足おきにつく」ことを
大事にしていただきたいと思います。

集中していない子は、足がプラプラしています。

足があっち向、こっち向きしています。

 

この子は、今現在 小児科のドクターです。

 

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