発達障がい診断別対応法
発達障がいの症状は「先天的な脳機能障がい」が原因と言われていますが、
脳機能障がいがなぜ引き起こされるのかははっきりと解明されていません。
「遺伝的要因」と「環境要因」の相互作用と考えられています。
杉山登志郎先生は
生まれつきの脳機能の発達のアンバランスさ・凸凹(でこぼこ)と
その人が過ごす環境や周囲の人とのかかわりのミスマッチから、
社会生活に困難が発生する障害だと 定義されています。
発達凸凹 + 社会的困難 = 発達障害
今回はADHDとLDについて学びます。
ADHDの症状や特徴を確認し、どのように対応していくのかを考えます。
しかし、対応したからといってADHDの症状がなくなるという事ではなく、
「発達に凸凹を持った人が自分の良いところや強みを見つけ、
伸ばし、健やかな社会生活ができるようにすること」
援助目的を達成するために、以下の3つを心がけています。
・セルフエスティーム(自尊心)を育てる
・自尊感情を伸ばす
・自己評価軸をしっかり持たせる
私たち援助者は
①自閉症症状が根底にあることを忘れない
②問題は「行動であり、その人ではない」
③その子の強みを活かす枠組みを作る
④援助者もスーパーバイザーなどに援助をもらう・学び続ける
を念頭に学び続けています。
診断名:注意欠如・多動性障害の対応
(ADHD:Attention-deficit hyperactivity disorder)
子どもの症状のあらわれ方は、以下のようなタイプ(型)があります。
☆不注意型
●勉強でうっかりミスをする
●宿題をしない、提出物を出さない
●必要なものをなくしてしまう、忘れ物が多い
●課題や活動を順序だてて行うことが苦手
●指示されたことをやりとげることが難しい
☆多動性型
●授業中に座っているのが苦手
●活動におとなしく参加できない
☆衝動性型
●順番を待てない
●相手の話をさえぎってしゃべってしまう
●ちょっかいを出してトラブルになる
困った行動の対応
a.話を聞いていない
・静かにし注目させてから、話を始める
・指示は、具体的なことばで、短く簡潔にまとめる
・全員の中で話すときは、注意を向けさせてから話す
・全員に話した後、個別の確認をする
・必要に応じて、写真や絵カード等の視覚的手がかりを用いる
b.作業や課題を仕上げられない
・外からの刺激を取り除き、座席の位置に配慮する等、集中できる環境をつくる
・子どもが「できる」と見通しが立てられるような課題の量にし、内容を考慮する
・集中力が切れ、仕事が続かないときは、自由にできる時間も取り入れる。
切り換えができるようにする
c .多動性が強く、じっとしていられない
・集中できる時間や、離席は2回までは OKというような約束事を決める
・今からしようとする行動を、ことばで言う習慣をつける
・教材配布係等、動いてもよい状況を作る
・授業中に活躍の場を与える
・生活にめりはりがつくように、時間割りの組み方を工夫する
・休み時間や学習の前に活動エネルギーを発散させ、集中しやすくする
d.人の邪魔をする
・行動の理由を尋ね「~したかったんだ ね」と共感的に気持ちを受け止めてから、
どうすればよいかという「ことばや行動」を教える
・攻撃的な感情が生じたときには、その場を離れる方法をとるなど衝動をコントロール
する方法を身につけさせる
・危険な行為については、その場でしかり、理由についてていねいに説明する
・友だちと遊ぶ楽しさや、協力する体験を重ねさせる
また、環境を変えることも大切です。
子どもの環境調整の例
●忘れ物が多い
玄関に必要なものを揃えておく
チェックリストをつくる
●片付けができない
できたあとのごほうびを決める
チェックリストをつくる
●集中できない
まわりに気になるものを置かない
などがあります。お子様に合った方法を実践しながら見つけていきましょう。